木材の外観的および感性的特性に関する研究
木材は人の生活を支え、彩りを添えます。 材面の色調は、生物由来の材料であることを反映して不均質に分布し、決して揃いません。 そしてそのことが、木材特有の意匠を創り出しています。この木材色の特徴を定量的に捉えることを試みます。
ここで鍵となるのは、不均一に分布した材色の面的捕捉(イメージング分光法)と、材面に現れた特徴のサイズと色属性を考慮した画像解析(多重解像度コントラスト解析:右図)です。 木材表面の色は部分ごとに異なり、従来のスポット測色法では、木材表面の材色を十分に表せません。 その点、イメージング分光法を用いると面的な測色ができ、木材表面の色分布を捉えることができます。 また、多重解像度コントラスト解析を用いると、材面に現れている任意の大きさの特徴がどのくらい目立つかを色彩値の差(コントラスト)として表すことができます。
建築内装で木材が用いられる場面として代表的なものにフローリングが挙げられます。 フローリングを作成する場合、問題となるのは、フローリングを構成しているピース間の色の不一致です。 ピース間で色の不揃いが激しいと使用者に不快感を与えます。 一方で、揃いすぎているよりも、ある程度不揃いな方が自然な感じがしてよいという意見もあります。
そこで、本研究室では、明度、彩度、色相を任意に変化させた印刷フローリングシートを作成し、色の不揃いと印象の関係を調査しました。
近年施行された木材利用促進法により、構造材としてだけでなく内装材としての木材利用も推し進められることとなりました。 しかし、木材を内装に取り入れる時、どのような意匠が来訪者に良い印象を与えるか、どれだけ木材が使われていると心地よい空間となるか、系統的に調べた例は少ないです。
そこで、本研究室では壁面に様々な木材意匠を施したCG画像(下図)を作成し、これを被験者に観察させ、印象や認知反応の変化を調べました。